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買いつけの旅のエピソード(knoflik篇)

買いつけの旅のエピソード「ルーマニアのはなし」

憧れのルーマニア。ハンガリーよりも、ハンガリーらしいと言われるトランシルバニア地方を旅したときのはなし。

2008年連載/【全8話】


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1.トランシルヴァニアを訪ねて

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし1 こんにちは。チャルカの久保です。 今回はいつもと違う感じですが、8月に旅したルーマニアのはなしを少し。私が行ったルーマニアのトランシルヴァニア地方は第二次世界大戦前まではハンガリーだったところです。戦後、ルーマニアに属することになってもトランシルヴァニアの人たちは、自分たちはハンガリー人だと自覚しハンガリーの伝統を守りながら暮らし続けています。今ではハンガリーよりハンガリーらしく、『ハンガリー人の心のふるさと』と言われるほど。ハンガリー語をはなし、ハンガリー料理を食べている人たち。ハンガリーの民族衣装を着て、織物や刺繍や編み物をし篭を編み、木工品を作り、藁細工もあります。トランシルヴァニアに行くと、まだまだ手仕事が残っていてクノフリークを好きな方には、もうたまらない場所。野菜は庭で作り、鶏を飼って卵を産んでもらいミルクは牛からもらい、保存食を作りトランシルヴァニアには、想像以上に豊かな生活がありました。どんな物があって、どんなふうにいいなと思ったのか、しばらくこの話を書きますね。


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2.晴れの日の民族衣装

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし2 民族衣装にも晴れの日用と普段着用がある。もちろん季節や目的によっても違う。晴れの日の衣装は本当に手が込んでいて、ビーズや刺繍で埋め尽くされている。ずっしりと重い。こんなに手の込んだ物を作るには何時間かかるんだろう、と思うけど、きっとここの人たちは、はじめっからそんなことを考えたりはしないのだろう。暑い日は木陰で涼みながら、寒い日は日なたでうとうとしながら、それでも手は動いてる。そんなふうにちょっとずつ、気長に。自分たちの衣装は自分たちで作るものだと、自然に思ているようだ。針先で一粒のビーズをすくい布に縫い付ける。一目ずつ編み上げてゆくレース。繰り返し繰り返し。途中で同じ色の糸がなくなっても気にしない。なんとなく、似た色や雰囲気で仕上げてゆく。自分のために、夫のために、娘のために、孫のために。結婚式や村祭り、イースターの日には、そんな衣装を着た人たちが村中を練り歩く。それはもう、うれしそうな顔で。


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3.普段の民族衣装

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし3 おばあちゃんたちが日常的に着ている服のことを、民族衣装の普段着版と勝手に呼んでいる。だって、みんなしておんなじなんだもの。ひだがたくさんのスカートにエプロンを重ね、ガラスボタンのついたブラウスと頭にはスカーフをほっかぶり。寒くなってきたら毛糸のベスト。このベストを見つめていたら、着ていたおばあちゃんが「めぇ~」と鳴いた。羊の毛から作った(だから暖かい)ってことらしい。さらに脱いで、着せてくれた。重い。スカートもブラウスも、似たり寄ったりの柄と色。手に入る生地がそんなにいろいろないんだと思う。村の広場や店の前には、ころころとマトリョーシカ体型のおばあちゃんたちが集まっておしゃべり。双子、三つ子、四つ子…!?カラフルな羊の集まりのようにも見える


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4.ホーローづかい

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし4 朝ご飯のテーブルに”どん”と置かれた水色のホーロー片手鍋。バラ家のおかあさんが、家族プラス日本からの私たちのためにレモンティーを作ってくれた。ほんのり甘くておいしい。紅茶は断然ミルク派だったけど、水色のホーローと黄色のレモン、クロスにもほんのり水色で、この組合わせが目からウロコの新鮮さ。何杯もおかわりして、朝ご飯が終わってもレモンティーのカップを手放さなかった。庭から真っ赤なトマトをもぎ取ってきて、ざくざく切ってオリーブオイルと塩とコショウと少しの酢であえただけのシンプルサラダ。裏庭にトマトがいっぱいなっているからと、食事の度に白いホーローに山盛り出てくる。食べたいだけ自分の皿に取り、やっぱりもうちょっと食べようとおかわり。トマトの赤と白いホーローが食欲をそそる。お母さんは器がどうとか深くは考えていないけど、子供の頃から見て育ったものがすり込まれているんだと思う。使いこなすってこういうことなんだろうな。


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5.牛飼いと羊飼い

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし5 たいていの家は牛と羊と山羊と鶏を飼っている。時々豚も。飼っていると言うか、同じ敷地内で一緒に住んでいる。そう、共に暮らしているといった様子だ。各家々は道路に面して門か柵があり、入ると庭になっている。そこを囲むように人の住む家と小屋がある。自分の家で牛や羊を数頭、鶏を数羽飼い、畑を耕すのに使ったり、ミルクをもらったり、卵を食べたり。日中の鶏は庭で放し飼い。ぞんぶんに庭の草を食べて走り回っている。牛は朝、牛飼いのおじさんに託し、羊も羊飼いに。村じゅうの動物が集められて、丘から丘へと草を食みながら牛飼いと番犬とともに1日移動し、夕方には家に戻ってくる。カウベルの音や鳴き声が聞こえてくると、家人は柵の前で自分の牛を待ち受ける。棒を手にした泥よけ前掛け姿の牛飼いたち。かっこいいことといったら。今日も1日ごくろうさん


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6.どんとこい!

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし6 おばあちゃんの大きになおしりと広い胸。驚きと羨望のまなざしでみつめてしまう。たいていのことはニコニコと受け止め、どんなことが起こっても動じない。安心感と安定感の象徴のような存在だ。どうやったらあんな体型になれるんだろう?多少がんばってたくさん食べて太ったとしても、あんなふうにいい具合に大きくはなれなさそうだ。毎年1~2キロずつ、こまめに太っていけばいいのかな。そしたらいつか、赤いスカートや小花模様のブラウス、柄on柄の重ね着をたのしく着こなせるようになりそうだ。かわいいおばあちゃんになるには長期的計画が必要とみた。


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7.ほっかぶりがかわいい

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし7 ほっかぶりって、こんなにかわいかったけ?ルーマニアに行ってあらためて思った。大判のハンカチを三角におって、頭からかぶってあごの下で結ぶ。まるで顔の額縁のよう。やってもらったらどうも似合わなくてがっくり。もっとメリハリのある目鼻立ちでないと似合わないのかも。それとも、何十年も何千回も身につけていると、似合うようになるのかもね。ここで私の疑問。ただでさえ耳が遠くなってくるお年頃なのに、さらに聞こえにくくならないのだろうか?答え、やっぱりなるらしい。だからおばあちゃんたちは大きな声でゆっくり話すんだって。


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8.色とりどりの刺しゅう

買いつけの旅のエピソード/ルーマニアのはなし8 ボリュームを出すためにはくアンダースカート。重ねたときにちらっと見える裾の部分は、えらい凝りようだ。手織りの生地はしっかりと目がつまり、そんなスカートに刺繍をほどこしたあかつきには、ずっしりとおも~い代物になる。実際に重いし、手間ひまのかけっぷりからも驚嘆の域。こうやって出来上がったスカートはもちろん大事に扱われる。 親子代々譲り受けているものもある。何度も何度も洗って生地が薄くなり、すり切れてもすぐに捨てたりはしない。刺繍の部分をいかしてかばんやクッションに仕立て直す。このころになると気持ち的にも物としても、私にも受け止められる存在になる。パーツ使いで何か作ってみようかと思ったり。


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